NTTナビスペース株式会社(本社=東京都豊島区,http://www.nttnavi.co.jp/)と株式会社リベルタス・コンサルティング(本社=東京都港区,http://www.libertas.co.jp/)は、携帯電話を主な考察対象として消費者の購買意識を把握することを目的にアンケート調査を実施しました。2回シリーズで結果の一部をご紹介します。本稿はその前半です。
インターネット調査(ウェブ画面上で回答)
NTTナビスペース株式会社が保有している約16万人の調査モニターから、性別・年齢階層(20代〜60代の10歳きざみ)・居住地域ブロック別に割り付けた2,535サンプル。
2007年3月23日〜同年3月29日
政府(総務省、内閣府など)から公表されている調査結果によれば、わが国の携帯電話普及率は世帯ベースで9割前後に達しています。携帯電話は日常生活のすみずみに行き渡りつつあります。誰もが1台は携帯電話を持っている時代が到来し、携帯電話はもう「いつかは持ちたいもの」ではなくなりました。
そのため、携帯電話だけを目指して購買行動を起こす消費者は減り、携帯電話を含む複数の消費財に優先順位をつけた上で購買行動を行なう消費者が増えていると推察されます。今回のアンケート調査ではこうした点を踏まえて回答者に次のように尋ねました。
いまあなたに、生活費以外に自由に使えるお金が5万円あるとします。このときあなたはこれで何を優先的に買いますか?(回答は上位3つまで)
この質問への回答結果は図表1の通りです。最も多くの回答を得たのは「余暇(旅行、スポーツ、飲食など)」で、回答率(以下ではこれを「優先購入率」と呼びます)は全体で59.4%でした。2位は「貯蓄」(41.7%)です。図表1には男・女の集計結果も示されており、上記1位と2位については性別による違いは認められませんが、それ以外の品目ではある程度の差異があることが分かります。
同じ図表1で携帯電話の優先購入率をみると全体で10.1%であり、9品目中で比較的下位の7位にランクされています。たとえ5万円の可処分所得があっても、それを携帯電話の購入に優先的に充てる消費者は全体の約1割に過ぎないということです。ここからも、「携帯電話はもう『いつかは持ちたいもの』ではなくなった」という事実を確認することができます。
なお、男女の間で携帯電話の優先購入率には若干の差異があります。女性で7.9%(9品目中の8位)と1割を割り込んでいるのに対して、男性では12.4%(同4位)となっています。
今回のアンケート調査では、上記の質問に続けて次の回答を求めました。
先の質問であなたが優先的に買うと回答した品目それぞれに対してあなたが支出する額を、合計が5万円になるように記入して下さい。
この質問への回答結果は図表2の通りです。ここでは前述した優先購入率の上位5品目をリストアップし、それぞれへの支出額の平均値を全体、男性、女性の別に示しています。全体の1位である「余暇(旅行、スポーツ、飲食など)」と2位の「貯蓄」への平均支出額はそれぞれ、約3万円、約2万7千円となっています。これら1位、2位への平均支出額は男女の別にみてもさほど変わりありません。
携帯電話への平均支出額をみると、全体、男性、女性の別を問わず、おおよそ1万7千円〜1万8千円です。この金額帯が、消費者の側からみた現在の携帯電話の「平均希望購入価格」といえましょう。ちなみに、全体でみたとき、携帯電話への支出額の最大値は5万円、最小値は3千円、中央値は1万5千円、最頻値は2万円でした。
なお、図表2をご覧いただいて分かるように、優先購入率が高いからといって平均支出額も高いとは限りません。例えば男性の場合、携帯電話より優先購入率が低い携帯オーディオプレーヤーに対する平均支出額は2万円強であり、携帯電話の額よりも高くなっています。女性においては、優先購入率4位の化粧品に対する平均支出額は同8位の携帯電話よりも5千円ほど低いです。
消費者は購買行動に際して品目間に優先順位を付けると同時に、それとは別の尺度から、ひとつひとつの品目に対して自分なりの予定(希望)購入額を設定していることが分かります。“優先度が高い商品イコール高く買う商品”とは限らないということです。
後半のレポートでは、年齢階層別の視点から、60代の携帯電話購入意識に光を当てた分析を行ないます。