株式会社リベルタス・コンサルティング

新しい高齢社会デザインのために --“ニコリグット”の提唱

“高齢者の目線”とは

日頃、「○○の目線でものを見る」という表現をよく目にします。特定の人の身になって物事を捉えるという意味ですが、では、高齢社会の到来という現実を踏まえつつ「高齢者の目線でものを見る」と言うとき、それは何を意味するでしょうか。 リベルタス・コンサルティングはこう考えます。

“高齢者の目線”とは ・・・

おそらく大多数の人々が、こうした弊社の考え方に同意して下さるはずです。しかし、現在の我が国における高齢者を取り巻く状況を見わたしたとき、この“高齢者の目線”が本当に重視されていると言えるでしょうか?

多発する“ヒヤリハット”が示唆すること

2006年8月10日付「日本経済新聞」朝刊社会面に、「あわや医療事故18万件」という記事が掲載されました。これによれば、一歩間違えれば医療事故になりかねないヒヤリハット事例が2005年の1年間に約18万件も発生していたことが、(財)日本医療機能評価機構の調査で判明したそうです(調査対象は全国の国立病院や大学病院など約250医療施設)。 ヒヤリハットの主な発生要因(回答率上位5要因)は下表の通りです。

ヒヤリハットの主な発生要因
第1位確認不十分26.1%
第2位観察不十分13.3%
第3位心理的状況12.6%
第4位勤務状況9.3%
第5位判断ミス7.7%
出所:2006年8月10日付「日本経済新聞」朝刊記事「あわや医療事故18万件」

これらのうち、仮に「確認不十分」「観察不十分」「判断ミス」をウッカリミス(不注意)要因とみなすと、ヒヤリハットのおよそ半分(47%)はウッカリミスで発生していることになります。この事実は、我が国の医療現場において、“高齢者(を含む病気の方々)の目線”が決して十分には意識されていないことを物語っています。介護や福祉の現場も、似た状況にあるかもしれません。

活力ある高齢社会の条件

活力ある高齢社会の実現は国家的な課題となっており、経済、保健医療、社会保障、労働、教育など様々な分野で多くの取り組みがなされています。

そもそも“活力”とは人の活動の原動力となるバイタリティー(生気、気力)であり、心の内面から生じてくるものです。ですから、高齢者に向かって単に「元気を出せ」と叫んでも活力は出てきません。バイタリティーが湧き起こってくるような場面や体験、あるいは生活環境を高齢者に提供できたとき、初めて活力が生じるのではないでしょうか。

ところが、いま高齢者を取り巻いている実際の状況は、上述のヒヤリハットの多発が端的に物語っているように、ヘタをすると命取りになりかねないという有様です。活力ある高齢社会が国家的課題と位置づけられている割には現実が追いついていません。弊社はそこに、冒頭で述べた“高齢者の目線”の欠如・軽視を感じています。

高齢者の活力を生み出すには

高齢者が自らの内面から活力を湧き立たせるためには、ヒヤリハットといった暗くネガティブな面を除去するだけでは不十分だと考えられます。なぜなら、それは必要条件ではあっても十分条件ではないからです。

大切なことは、高齢者が明日への生きがい、張り合い、楽しみを見出せるよう、家庭で、地域で、あるいは国全体で明るくポジティブな面を創出することです。ところが、普段高齢者と接することが多い病院、政府、企業などは、ときとして高齢者に対して機能性や安全性ばかりを重視する傾向があるのではないでしょうか。サービスの提供に際して“高齢者の目線”が抜け落ち、必要条件の達成だけで「事足れり」としがちではないでしょうか。しかし、それだけでは高齢者の活力は高まらないと弊社は考えています。

ニコリグット”の提唱 〜ヒヤリハットを超えて〜

事故が無い安全な社会を目指すことは当然です。これからは、これに加えて、高齢者が人生に張り合いを持ち、楽しみを見出せるよう、生活の随所に明るくポジティブな面を創り出していくことが必要であり、そのための社会デザインが不可欠です。

リベルタス・コンサルティングは、こうした現状認識から、人がニコリと笑ったりグッと感動する場面や体験を“ニコリグット”という造語で表現し、あらゆる人々(とりわけ高齢者)が1つでも多くのニコリグットを感じられるような社会の形成を提唱します

ニコリグットの根底には、常に、冒頭で触れた“高齢者の目線”がなければなりません。また、ニコリグットは高齢者のためだけではなく、若年層にも等しく向けられたメッセージです。なぜなら、若年層にとって、現在の高齢者の姿は将来の自分の姿でもあるからです。高齢者がニコリグットを享受している社会は、若年者にとっても夢のある社会だと言えるでしょう。

ニコリグットは日々発展するコンセプト

ニコリグットには、「人(とりわけ高齢者)がニコリと笑ったりグッと感動する場面や体験」という以外に、特に厳密な定義はありません。弊社は、ニコリグットというコンセプトは“広がり”を持つべきであり、自由な発想と創意工夫で実践されることに意味があると考えています。

例えば、ニコリグットに賛同して下さっている医事評論家の水野肇氏は、「産経新聞」紙上で次のように述べておられます。

「『ニコリ・グット』という造語がある。・・・(中略)・・・その意味は『これからの社会はお年寄りが、ニッコリと微笑(ほほえ)んだり、胸にグッときて感動するようなことを展開しなければならない』ということだそうな。 この話を聞いて、私の脳裏をよぎったのは、江戸時代に幕府の圧政に対して、江戸のあちこちに落書された政治批判の川柳、あるいはソ連治下のもとで隆盛をきわめたアネクドートの類だった。この造語の中に、小泉さんの老人への医療対策の不満や、弱い者へのいたわりのなさを表現しているように感じた。」
出所:2006年10月3日付「産経新聞」朝刊コラム「正論」
http://www.sankei.co.jp/news/061003/sir000.htm

後掲の図は、ニコリグット事例の一端を示すものです。皆さんは、どのようなニコリグットを思い浮かべるでしょうか。ぜひ弊社の代表メールアドレス(admin@libertas.co.jp)にご意見をお寄せ下さい。

弊社は今後、ニコリグットの推進と浸透に向けて、イベント、出版、調査研究、独自事業などに取り組んでいきます。皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

ニコリグット事例 ニコリグット事例
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